ジャック・ケッチャム『閉店時間』
- 作者: ジャック・ケッチャム,金子浩
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2008/07/30
- メディア: 文庫
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相変わらずのケッチャムであるが、いつものような生理的に受け付けないほどの嫌なシーンというものは存在しないので、ケッチャム初心者にも非常にオススメ。強いて言えば表題作である「閉店時間」は後味が悪い。いきなり男女の甘い恋愛模様が語られるので「あれあれ、どうしちゃったのさ!」とあたいガッカリしちまってたんですが、読み進めていくと不条理極まりないケッチャム節満載でした。あとがきによると、この作品は作者自身の実体験に基づいているそうな。
そうか……なんていうか頑張って生きろよ、ケッチャム!
女弁護士とキジルシ男女三人組との人生最悪の夜を書いた「ヒッチハイク」は、スカッと爽快な作品に仕上がっている。車が故障したのでヒッチハイクを試みるが、停まったのは最低最悪なキチガイ野郎。こんな車に乗ったらナニをされるかたまったもんじゃない、そこに通りがかったのは昔の同級生(♀)。助けてもらって、昔の話に花が咲くかと思いきやさあ大変。その同級生の方が更にキチガイだったよ!
ラストはケッチャム先生の新境地。こういうの書けばもっと人気出るよ!
他にも鬼畜犯罪者カップルと、それに対する天罰「雑草」*2や、男の友情と鬼畜レイプ一族ノワール・ウエスタン「川を渡って」の二篇が収録されている。どれも、不条理であり、善・悪どちらも幸福にならない。ジャック・ケッチャムという作家の魅力が存分に詰まった作品である。